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▶︎空海伝説6 〜弘法清水(こうぼうしみず)〜

錫杖を地面に突くと、たちまち清水が湧き出た

空海は、諸国行脚をされた際に、各地で奇跡を起こされています。

なかでも、「水」に関する奇跡は多く、弘法水伝説として今に伝えられています。

富山県の上市町に空海の偉業を賛する「護摩堂」があります。

その側には富山の名水に選ばれている「弘法大師の清水」が湧き出ています。

昔、とても暑い真夏に、諸国行脚をする空海がこの地を訪れて、ある老婆に水を求めました。

老婆は、「少しお待ちください」と言って、遠くにある渓谷まで行き、渓流の水を手桶一杯の水を汲んで戻り、空海に差し上げました。

この村には水源がなく、村人は水汲みに苦労していたのです。

その事を知った空海は、やおら手に持っていた錫杖(僧侶が巡業時に持つ法具の杖)を地面に突き立てました。

すると驚くことに清水が勢いよく吹き出しました。

老婆も村人も大変喜び、「弘法様の清水」として大切に利用したそうです。

地元の人々の間では、この清水を飲むと頭が良くなると伝えられており、今でもこんこんと湧き出る清水は、訪れる人々を和ませています。

空海は、それだけではなく、この村の人々の幸せを祈って「護摩行」(祈願の行)を行いました。

村人はその感謝を忘れないために、清水が湧く側に「護摩堂」を建てて、お祈りを捧げると共に、子や孫に空海の偉大さを伝え続けました。

そして現在、町が誇る観光スポットになっています。

このように、空海が錫杖を突いて清水を湧かせた伝説は、全国各地に約1500以上もあると言われ、「弘法清水」「弘法水」「弘法井戸」などと呼ばれて、いまなお親しまれています。

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