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▶︎大日如来

空海の仏教の奥義・真言密教では、大日如来尊は、宇宙全体のすべてを遍く照らすという意味があります。
真言密教は大日如来をご本尊とし、即身成仏と現世御利益(生きている今、幸せになる)を授かることができる唯一の教えです。

真言密教の「真言」は、仏様の「真実の言葉」を意味しており、その言葉には計り知れない深い意味が隠されています。その隠された秘密の意味を知ることができる教えこそが「真言密教」です。

大日如来は、空海を開祖とする真言宗の「根源仏」で、宇宙そのものであり全ての徳を備えた最高位の存在です。
大日如来は、千手観音や黄金の8メートルある「大慈眼観世音菩薩」や千光寺境内の立体曼陀羅を包みこむように建立されておられる12尊の観音さまや、8尊の不動明王など色々な仏様の姿に変身して現われます。

つまり、すべての仏様は大日如来の化身として人々を救うために存在しておられるのです。
いついかなるときも、大日如来は私たちを見守って下さり、迷い悩む人々に悟りへの道を示して下さる唯一無二の尊い仏様です。
本来私たちは、生まれたときから仏と同じ心(善)を持っています。しかし、日々の多忙な生活の中で、その心は埋もれてしまい多くの迷い(悪)を抱えてしまいます。
そこで仏様の教えに従い善行(洗心)を積むことで、本来の心を取り戻すために導いてくれるのが大日如来なのです。

人間として生きながら、大日如来の境地に至る「即身成仏」

空海は、真言密教の教えとして、「即身成仏」を説いています。

人間は、仏などとはまったく無縁の存在のように生きているにも関わらず、本来「仏の智慧」をその身に具えているものです。
仏教の「因果律の根源」ともなっている物質的・肉体的なとらわれ、低次元の欲望から脱した境涯を体得するということ。その何ものにもとらわれない絶対の自由(大空位)とは、大日如来の法身(人々の願掛け・問題解決を、「現世ご利益」となるよう不動明王に変身なされて実践されておられる)と同じもの、すなわちその境涯こそが「即身成仏」です。

「即身成仏」こそが「ブッダ」の境地である「空観の獲得」であり、意識改革です。

※このための具体的な方法が、真言密教の「四度加行」に含まれる数々の修練であり実践となる護摩行(護摩行法の伝授)加持祈祷となります。

空海が引用した『菩提心論』によれば、
「真言法、真言密教の中にのみ即身成仏する」
つまり密教をもってのみ、「即身成仏」し、人が生きる上で出会う命題(色々な問題)を解決できると断じています。
「四度加行」を学び 超人的パワー、秘密印明を授かる「伝法灌頂(即身成仏の成就の認可)」よって、修道者はダイレクトに神仏の存在を味わい、悪しき道を歩むことなくその境地をかいま見る事が出来るようになります。
このとき人は、大日如来の視点や考え方で物事を観察し、判断を下すことができるようになります。これがごく自然な日常での価値観となったとき、即身に成仏した事、すなわち「即身成仏」となります。

空海の引用した『大日経』にある
「観察し相応すれば成就を作す」
とはまさにこの視点を表現しています。

そして、真剣に空海の真言密教の修道に臨み、一度でもその境地を体験することができた修道者は、その心身に起こった体験の感覚により、たとえ行を終え、俗世(一般社会)に戻ったとしても、生きながらに仏心を会得し、二度と迷妄の世界に立ち戻ることはないと空海は語っているのです。

この説明を、空海は『三摩地軌』から引用し、
「自身即ち金剛界曼陀羅と為る。自身金剛となんぬれば、堅実にして傾壊無し。我金剛身となる」
として再び最終解答を出されております。

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