▶︎空海伝説5 〜善女龍王(ぜんにょりゅうおう)〜
雨乞いの戦い
平安京(京都)の神泉苑の池には、善如(ぜんによ)という竜王が棲(す)んでいると言われます。
天長元年(824)の春の事。 長い間雨が降らずひでりが続いて庶民が苦しんでいました。
そのため時の天皇が、その神泉苑にて雨乞いをせよと、西寺の「守敏」と東寺の「空海」に祈雨の習法を命じました。
まず、西寺の守敏が7日間雨乞いをしました。
ほんの少し雨が降っただけでした。
次に空海が7日間の雨乞いをします。
しかしまったく雨が降りません。
おかしいと空海が法力で調べると、なんと、守敏の仕業で全国すべての龍神が水瓶に閉じ込められていました。
しかし唯一、「善女龍王」だけは守敏の呪力から逃れて、天倖(北インド)の無熱池いることが分かりました。
そこで空海は、さらに2日間の延長を願い出て、善女竜玉を神泉苑に呼び寄せました。
そして、祈雨の修法を行ったところ、長さ9尺(約2.7メートル)ばかりの金色の竜が姿を現し、たちまち雨が降り始めました。
しかも、その雨は3日3晩日本中に降り続いたのです。
高野山に参詣すると、不動堂の南に「蓮池」があります。
その池の中央にある小島に、善女龍王を祀る社(やしろ)があります。
蓮池の小島に祠(ほこら)を造営した際、善女竜王像をお祀りすると、なんと、瞬く間に大雨が降りだしたそうです。